Exhibition

洞穴の暗がりに息づくもののために

沖田愛有美

2024.1.21-30

漆の絵画は、フランスの植民地下にあった1930年代のベトナムにおいて西洋画と漆芸の間に〈ソン・マイ sơn mài〉として誕生したとされる。

これが1960年代に中国の漆芸界に伝播し、現在では絵画の領域に〈漆画 qī huà〉が確立されている。一方日本では「絵画」の形式をもつ漆の平面表現に対して明確な定義は与えられていない。

工芸の領域に知られている〈漆パネル〉はあくまで“絵画”であると名乗ることを避けてきたのであり、かつて絵画の領域で表現を追求した個人や集団の活動も、今ではほとんど顧みられることはない。

絵画と工芸の間をゆく漆画は絵画でもあり工芸でもある。あるいは絵画でもなく工芸でもない。

両義性の抱える自己矛盾は、今なお漆画の不在に長く影を落としている。私は変化する漆を、カブれをもたらす漆を、樹木である漆を、人格を有するかのようである漆を“共同制作者”に迎え、絵画/工芸としての漆画を自然—人間の関係によって捉え返すことを試みている。

 

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2024年1月21日(日)〜 2024年1月30日(火)
月曜—金曜:14時〜19時

土曜・日曜:13時〜18時

※最終日18時まで 

 

入場無料

 

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プロフィール
1994年岡山県生まれ。漆をメディウムとした絵画作品を制作している。自然界の現象や様々な種、人間と非人間の境界など複数の要素が複雑に結びつき絡まり合う様子を生きる描画材料である漆との協働によって描き出す。金沢美術工芸大学大学院博士後期課程在学中。

 

 

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