Event
Queer Trip
2023.10.13
クィアな視点からの文化・芸術、エンタテインメント、アートについての話題や、世界各地のクィアなスポットやコミュニティへの探訪経験を話すトークシリーズを試運転します。
今回は、映画、テレビドラマ、小説、現代美術など文化・芸術に関して、ジェンダーやセクシュアリティの視点からの批評エッセイの執筆や、小説の創作をする鈴木みのりが2023年6月2日~7月5日までのアメリカ・ニューヨークでの滞在で見聞きした話題、風景、経験について話します。聞き手は野村由芽さん(編集、執筆、「me and you」メディア・コミュニティ運営)。
話す内容は例えば……
・俳優エリオット・ペイジの回顧録『Pageboy』
・プライド月間の音楽イベント Them×Pitchfolk「Night Out」
・ブルックリン美術館での企画展「It’s Pablo-matic: Picasso According to Hannah Gadsby」
・トランスジェンダーかつエスニック・マイノリティの人々との出会い
・クィア系の人々に包摂的な書店
・食べたもの
当日は購入した書籍、写真集などを持って行く予定で、会場参加者に手に取ってもらえる機会を設けたいです。
【会期時間】
19:00~21:00
※受付開始は18:45から
【予約・公式ページ】
https://peatix.com/event/3715768
会場:定員:1,000円+1ドリンク+ドネーション(定員:50名)
オンライン配信:お申し込みいただいた方に視聴方法をお送りします。
視聴料(期間限定アーカイブ付き):
基本1,500円。基本+ドネーション A 2,000円、B 2,500円、C 3,000円、D 5,000円
【開催にあたって】
歴史的に、特に英語圏では、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーといった人々には、差異がありながらも同質や同じ社会規範によって困難がもたらされている/きたからこそ、政治的な意図とともに「LGBT」や「LGBTQ」という連帯の呼称が使われてきたとわたしは理解しています。しかし、日本ではその連帯の意味合いや、それぞれの属性の差異と同質に慎重になるよりも、性的マイノリティの言い換えのようなかたちでコピーとして広がり、現在はメディアの影響もあり、一般的に使われているようにわたしには見えます。
そんななか、特にトランスジェンダーの人々(出生時に割り合てられた性別から移行したノンバイナリーやジェンダークィアも含め)が、シスジェンダーを当たり前とする構造的な差別や制度・生活インフラからどのように排除されやすく、いかに生き延びているかという生活実態は見えにくくなりがちだと思います。出身・生活地域、家族や友人といった周囲の人間関係、体格や見た目、経済階層、学歴など個別の環境によって左右されるという点を無視してはいけないのではないか? そのような問いを持ちながら、わかりやすいコピーの「LGBTQの人々」や「トランスの人々」といった言葉ではまとめきれないものを、表す方法はないかと考えてきました。
マイノリティの実態にふれる場所が必要だと感じ、これまで執筆仕事を通して、わたしはそうした表現がいかに可能かということを探究してきたつもりです。映画やテレビドラマ、小説といった視覚芸術やエンタメの評に取り組んできたのも、小説の執筆も、その一環です。
そこで近年、わたしが特に関心を持っていたのがアメリカのブラックかつトランスジェンダーの人々や、そのコミュニティです。
ドキュメンタリー映画『マーシャ・P・ジョンソンの生と死』(2017年、ディヴィッド・フランス監督)で焦点が当てられた、ジョンソンや、貧困層でエスニック・マイノリティかつトランスといった複合的な性的マイノリティの人々の福祉支援をジョンソンと共に行っていた、シルヴィア・リヴェラのような人の存在に勇気づけられました。また同時に、白人シスジェンダーのゲイを中心とする「LGBT」運動が活発化する一方で、長く不可視化されてきたジョンソンやリヴェラのような人々の存在が知られるようにと、歴史のアーカイヴをしてきた人の資源や労力を白人シス男性でゲイのフランスが搾取したのではないかと、不均衡の訴えも無視できません。そう訴えたトルマリンという現代美術のアーティストは、ジョンソンやリヴェラと同じく複合的な性的マイノリティであり、彼女自身も長く白人シスジェンダー中心の社会から、その存在を不可視化されてきたと言えます。
また、わたしは、ベトナム系アメリカ人の表現にも関心を持つようになっています。
その関心から、「新潮」2022年1月号にオーシャン・ヴオン『地上で僕らはつかの間きらめく』の、「すばる」2022年7月号にモニク・トゥルン『かくも甘き果実』の書評をそれぞれ書きました。二人は世代や表現の手法は異なりますが、ベトナム戦争の余波で移住したベトナム系アメリカ人の移民で、クィアな表象を執筆しています。その点を掘り下げる日本語の文学批評をほとんど見つけられずにいるなかで、わたしは、自分が書評でふれなければと考えて書評にしました。
性的マイノリティの権利獲得運動や尊厳のアピールである「プライド」や「プライドパレード」が広がるきっかけとなった、1969年に起きた「ストーンウォールの蜂起」以降、マーシャ・P・ジョンソンとシルヴィア・リヴェラは蜂起の現場となったニューヨークで生きていたし、トルマリンもその都市で生活をし、社会運動や福祉活動に従事し、マーシャやシルヴィアらの歴史を調べてアーカイブ作りをしながら、アーティストとしてのキャリアを積み重ね、またモニクはブルックリンに住んでいて、ヴオンはニューヨーク市立大学ブルックリン校で学んでから、最近ニューヨーク大学の文学コースに教員として招かれました。
こうしたことからわたしは、出身地域・国、民族的ルーツ、肌の色、英語以外の言語、経済階層、学歴といったさまざまな属性においても、複合的に社会的弱者であるジェンダーやセクシュアリティのマイノリティである人々のコミュニティと、その文化や創作の営みがニューヨークにあるのではと考えたのです。それで、マイノリティである書き手として、どう生きていくかというヒントを探しに一ヶ月滞在することにしました。
このトークでは、そうした経緯も含め、実際にわたしが2023年6月2日~7月5日までのニューヨークでの滞在での経験、見聞きした話題、風景について話します。
日本には決して十分とは言えない、文化・芸術、コミュニティの構築や広がりのヒントを探したり、議論したりする場づくりになればと願っています。性的マイノリティと政治に関心のある方、ポピュラーカルチャーに関心のある方、そのコミュニティと運営に関心のある方、食生活やファッションに関心のある方、いろんな人に参加してもらいたいです。
鈴木みのり
1982年生まれ。ジェンダーやセクシュアリティの視点、フェミニズム、クィア理論への関心から小説、映画、芸術などについて「i-D Japan」「キネマ旬報」「現代思想」「新潮」「文藝」「ユリイカ」などで執筆。第22回AAF戯曲賞で審査員を担当(愛知県芸術劇場・主催、2022年度)。近刊に『「テレビは見ない」というけれど』 (共著/青弓社)、和田彩花と特集の編集を担当したフェミニズムマガジン『エトセトラ Vol.8(特集「アイドル、労働、リップ」)』。『早稲田文学 増刊「家族」』 (筑摩書房)、『すばる』2023年8月号で短編小説を発表。
野村由芽
編集者/文章を書く。広告会社に勤めたのち、2012年CINRA入社。カルチャーメディアCINRA.NETの編集、企画、営業を経て、2017年にCINRA同僚の竹中万季と“She is”を立ち上げ、編集長を務める。2021年、個人と個人の対話を出発点に、遠くの誰かにまで想像や語りを広げるための拠点としてme and you, inc.を設立。個人的な想いや感情を尊重し、社会の構造まで考えていくメディア・コミュニティ「me and you little magazine & club」を運営するほか、性について自分の温度で話しはじめてみるJ-WAVEの音声番組「わたしたちのスリープオーバー」を配信中。
録画・録音について
オンライン配信のため(発言者の個人が特定されない使用)に録画録音をおこないますが基本的に、登壇者のみの撮影となります。質疑応答の際に参加者の録画録音がされることがあります。また、今後の広報などに使用するため、会場写真撮影します。個人が特定されない形(特定される場合には承諾を得る形で)で使用させていただきます。あらかじめご了承ください。
参加に際して
※イベントでの使用言語は日本語です。
* 録画・録音、写真や動画撮影はしないでください。
* 差別的、暴力的な言動は許容しません。(繰り返す場合には、強制的に退出いただくことがあります。)
* 個人の経験やプライバシーに関わることを聞き出そうとしないでください。
* 特定の第三者の個人情報を公開しないでください
* イベント内で共有された他の人の個人情報やプライバシーに関わる内容を第三者へと共有しないでください。
* 性・暴力についての具体的な経験などを話す場合は、あらかじめ参加者に予告し、確認をとってから話すようにしてください。
* 会話の内容を不快に感じた際は、まずはご自身の身を守る行動を取るようにしてください。
* 言いたくないことは言わなくて構いません。聞かれても遠慮なくスルーしてください。
* 年齢、ジェンダー、セクシャリティ、ナショナリティ、エスニシティ、氏名、見た目、身体的・精神的な障害の有無などさまざまな立場・属性の人がいます。他者を決めつけず、否定せず、尊重しましょう。
* 参加者全員でよりよい環境作りをこころがけましょう。
【お問い合わせ】
https://forms.gle/Mjan7A6Eu2LnQ5ie6
合理的配慮や情報保障などが必要な場合は、お手数をおかけしますが、10月11日(水)17:00までにご相談をお願いいたします。
主催:Queer Trip
協力:Uneasy Cohabitation
Music
2025.08.11
U-zhaan × 環ROY × 鎮座DOPENESS in BUoY
SR_BLUE
Music
2025.4.29
下津光史(踊ってばかりの国)ワンマンライブ “ 春の祭典 ” in BUoY
SR_BLUE
Exhibition
2025.4.26 - 5.11
藤元敬二写真展「equals zero」
藤元敬二
Event
2025.4.26 - 4.27
TOKYO MALE ART FAIR 2025
TOKYO MALE ART FAIR 2025
Exhibition
2025.4.14-4.20
THROUGH THE BARS 鉄格子の向こう
ALL RIGHTS REVERSED TOKYO
Music
2025.4.5
“春の嵐” 牛丸ありさ(yonige)× 大武茜一郎
SR_BLUE